Wednesday, February 21, 2007

信用取引メモ(買い方と売り方の関係、逆日歩など)

信用買いした株は証券会社に担保としてとられるわけだが、証券会社はその株を売り方にレンタルすることができる。

つまり、売り方にレンタルできる株は、証券会社が自分で持っている株と信用取引の買い方が担保としている株だ。トレーダーが現物買いしている株はレンタルにまわすことはできない。

買い方は、お金を借りて株を買い、その株をレンタルに出していることになる。したがって、借りた金の金利を支払い、レンタルに出した株のレンタル料を受け取ることができる。金利は必ずレンタル料より大きくなるようで、その差額が買い方が証券会社に支払う金利になる。

一方、売り方は、レンタルした株を売り、その代金を証券会社に預けているということになる。したがって、レンタルした株のレンタル料を支払い、預けた金の金利を受け取れる。買い方とは逆に、金利がレンタル料より小さくなることはなく、売り方は証券会社から支払いを受け取ることになる。金利が低い状況だと、これが 0 になることもある。

証券会社から見ると、買い方が買った株を売り方にレンタルし、買い方に貸した金は売り方が空売りした売却代金で穴埋めできることになる。全体として、買い方から売り方へ金が流れており、そこから証券会社は仲介手数料を抜き取る。先に述べたように、金利が低いと、買い方からの金を証券会社が全部とってしまうことになる。

このように、原則として、買い方から売り方へと金は流れる。ただし、例外が2つあって、それは

  • 株の配当が支払われるとき
  • 貸し株の需給が逼迫してるとき
である。企業が支払う配当金は、株を現物買いしている人に支払われるので、信用買いで株をもっている人には、売り方が配当金を支払うという約束になっている。したがって、権利確定日をまたいでショート・ポジションをもっていると、買い方への配当金を支払わねばならない。

貸し株の需給が逼迫していると、売り方は追加のレンタル料を支払わねばならなくなる。これを逆日歩とよび、買い方に対して支払われる。

貸し株の需給状況を表すのが、信用倍率(貸借倍率)であり、信用買い残÷信用売り残、で計算される。

Sunday, February 11, 2007

PostgreSQL 8.1.5 の設定

先日、インストールしたので、設定を進めてみた。昔 7.2 をセットアップしたときのメモや Web 上でのオンラインドキュメントを参考に

  • ユーザとデータベースの作成
  • クライアント接続とセキュリティの設定
  • JDBC ドライバのセットアップ
をやってみた。

ユーザ、データベースの作成は、7.2 の頃と同様にできた。PostgreSQL 管理者ユーザで


$ createuser user_name


のようにすればいい。このとき、7.2 のときと同様にデータベース作成の権限、ユーザ作成の権限を与えるかどうかが聞かれるが、新しく superuser の権限を与えるかどうかも聞かれた。

このままだとクライアント認証のときにパスワード認証ができないので、PostgreSQL 管理者ユーザで template1 データベースに psql コマンドで接続し、ALTER USER 文でパスワードを設定した。template1 データベースというのは、もともとある管理用のデータベース。7.2 と同じようにできた。

オンラインマニュアルにしたがい、pg_hba.conf を編集することでクライアント認証(ホストベースのアクセス認証)をセットアップした。

Unix ドメイン経由の接続だけでなく TCP/IP 経由の接続を認めるには、pg_hba.conf を設定するだけでなく、postmaster を起動するときに -i オプションをつけなければならない。これにより、TCP/IP 接続を受け付けるようになる。もちろん、TCP/IP 接続が成功してはじめて、サーバがクライアント認証をチェックすることができるようになる。

7.2 のころはソースからビルドしたときに JDBC ドライバが作成されたはずだが、今回はそうではなかった。PostgreSQL の JDBC サイトから、PostgreSQL と JDBC のバージョンにあったものをダウンロードした。JDBC 3 のドライバを入手した。ここで作成されているドライバは Type4 だ。つまり Pure Java であるから、どのプラットホームでも使うことが可能だ。

Saturday, February 10, 2007

信用取引メモ(委託証拠金率)

信用取引では、証券会社に担保となる委託証拠金を差し入れ、信用買い、または空売りをすることができる。空売りのことをショート・ポジション、信用買いや現物買いをロング・ポジションをとるという。株価が上がると利益になるポジションをロング、下がると利益になるポジションをショート、というわけだ。

委託証拠金は最低でも100万から200万程度を用意しなければならない。金額は証券会社によって異なる。昔は2000万円ほど必要だったりしたようだ。

ポジションをとるとき、建玉の総額に対する証拠金の比率が委託証拠金率となる。たとえば、100万円の証拠金に対し、200万円信用買い(つまり、200万円分の株を買う)か200万円空売り(つまり、200万円分の株を借りてきて売る)すると、100 万/200万 = 0.5 = 50% となり、証拠金率は 50% ということになる。逆に見れば100万円しか用意していないのに200万円の取引をしていることになり、2倍のレバレッジを効かせていることになる。すなわち、委託証拠金率の逆数がレバレッジ率ということになる。

委託証拠金は現金で用意してもいいが、利息はつかないので、不利である。そこで現金の代わりに債券や株式で用意してもいい。これらを代用有価証券という。ただし、値下がりのリスクがあるので有価証券の時価そのままで評価することはせず、いくらか割り引いた価格で評価される。何割で評価されるかということを掛目とよぶ。国債などは90から95%、東証上場株式などは80%程度で評価される。

委託証拠金率 = 委託証拠金の評価額 / 建玉総額

であった。いったん信用取引をしたらポジションを変更しない限り、建玉総額は変わらない。ただし、委託証拠金の評価額は変わりうる。

まず、委託証拠金を有価証券で差し入れている場合は、価格の変動によって評価額が変わってくる。

また、建玉の損益によっても評価額が変わる。たとえば、ロング・ポジションとして200万円もっていて、それが10%値下がりしたとすると、20万円の損失である。同様にショート・ポジションとして200万円もっていたとして、その銘柄が10%値上がりしたとすると 20万円の損失である。委託証拠金からこの損失分を引いたものが評価額となる。

ということは、建玉で利益が出たなら委託証拠金の評価額が上がるはずだが、オンライン証券会社ではそうはしないことが多いようだ。まとめると、

委託証拠金の評価額 = 委託証拠金の時価 + 建玉の損益 - 取引手数料

となる。

さて、前述したように委託証拠金率の逆数がレバレッジ率であった。そこで、証券会社では委託証拠金率の最低ラインを決めることによって顧客のレバレッジ率の上限を定めている。証拠金率を50%にするということは、顧客が2倍までレバレッジを効かせることを認めるということだ。40%にしたなら、2.5倍までのレバレッジを認めることになる。顧客の委託証拠金率がこのラインを下回ると証券会社は新たな建玉を認めなくなる。

証拠金率があまりに下がり過ぎると、証券会社はリスク回避のために顧客に委託証拠金の増額を求めてくる。これが追証(Margin call)である。この証拠金率を最低証拠金維持率と呼ぶ。制度信用取引では 30% に定められている。

さらに、顧客が追証にも応じず、証拠金率が下がり続け、20% を下回ったとき、証券会社は顧客のポジションを強制的に解消することができる。買い玉だったら、そのときの株価で売ってしまい、金を返してもらうことができる。売り玉なら、そのときの株価で株を買ってきて、レンタルしていた株を返してもらうことができる。

たとえば、委託証拠金として 125万円の株を差し入れれば掛目 80% として 100万円相当になる。そして、200万円の株を信用買いしたとする。このとき委託証拠金率は 50% である。その後、証拠金として差し入れていた株が20%下落し、信用買いした株も 20% 下落したとする。

このとき、委託証拠金の評価額は (125万 * 0.8 * 0.8) - (200万 * 0.2) = 40万 となり、委託証拠金率は、 40万 / 200 万 = 0.2 = 20% になってしまう。すなわち、証券会社に強制的に建玉を決済されてしまう。

この例だと、買玉をすべて売り払って 160万 を確保する。40万足りないから(証券会社は最初に 200万貸している)、代用有価証券も売り払って 100万を新たにつくり、そこから 40万円回収する。

したがって、証拠金率を一定以上に維持しなければならないのだが、そのためには、

  • 建玉総額とその損益の管理 = 建玉管理(ポジション・コントロール)
  • 委託証拠金の時価の管理 = 資産管理(アセット・マネジメント)

の2点が絶対に必要になる。

ここで少し考えてみたのだが、委託証拠金率が 0 にならない限り、証券会社が貸した金やレンタルした株を回収できなくなることはないはずである。

なぜなら、証拠金率 > 0 ということは、

委託証拠金の評価額 = 委託証拠金の時価 - 建玉の損失 > 0

ということである(取引手数料は捨象)。回収しなければならないのは、建玉総額であり、建玉を処分しても足りない部分、すなわち、建玉の損失分は、委託証拠金の評価額でまかなえることが分かる。

つまり、委託証拠金率というのは、建玉をすべて決済し、貸した金やレンタルした株を回収した後に残る金額が建玉総額に占める割合だということもできる(証拠金が有価証券なら掛目だけ割り引いているので、決済後に残る金額が建玉総額に占める割合は委託証拠金率よりも高くなる)。

今までは金利のことは考えなかったが、当然、信用取引には金利がかかる。

一般信用取引では、証券会社が顧客と相対取引する。制度信用では、証券会社は顧客と証券金融会社との間を仲介するだけである。したがって、制度信用では、金利の他、返済期限や信用取引可能な銘柄(貸借銘柄)は証券金融会社や取引所が一律に決めている。一般信用の場合は、証券会社ごとに決めることができる。